NYアートリポートVol.29
Ross Bleckner
チェルシー地区の南東の18丁目にあるPetzel galleryは多くのギャラリーが集中する20丁目エリアからは少し離れている。今回初めてこのギャラリーを訪れたがなんとも懐かしい作家Ross Blecknerのペインティング展を開催していた。ニューヨークでのソロショーは約5年ぶりでこのギャラリーでは初めての展覧会になるのだという。Ross Blecknerは1990年代のまだ僕がニューヨークにいた頃に鮮烈にデビューして話題になった作家で暗くシャープな画面を通して独特の美意識を表現する作家である。2019年の新作でもそのエッセンスは変わらぬままに彼独自の世界観の絵画を見せてくれた。ニューヨークでネオペインティングムーブメントが起きた1980年代から1990年代を思い起こさせてくれる展覧会となった。
抽象画のような具象画とでも呼ぶべきか。独特の世界観だ。
画面は暗いことが多い。生と死などがテーマの根底にある気がする。
黒い画面に白いフワフワとした点が描かれている。淡い感じだ。
いくつもの顔が描かれた作品は少し不気味な感じがする。
画面を縦横無尽に走る線や点や植物のようなパターン。
この絵は硬い雰囲気の黒い背景に花が添えられているようだ。
亡霊のような人々の姿がボーッと浮き上がる画面。