まばたきのかたち

皮膜状の油彩

天王洲アイルにある児玉画廊にて関口正浩による個展「まばたきのかたち」が12月22日まで開催されている。皮膜状の油彩をキャンバスに貼り付けるという独自の技法で作品を作る作家は絵筆で絵を描くことを放棄し一貫してこの技法で作品を制作し続けているという。アトリエ内に広いシリコンボードを水平に置いてそこに油絵具を塗り、半乾きの状態で剥がしてこの「皮膜」を使る。ある意味一つの物質といえる油絵具の「皮膜」を使ってキャンバスに作品を作り上げるそうだがそこに生み出される抽象的なイメージはなるほど絵筆では表現できない独特な絵画である。どうやって「皮膜」をこのように魅力的に貼って行くのかなど見てもわからないのだが最終的に実に美しいイメージが生まれるのは面白い。「皮膜」を使ったコラージュのような感じもするし、アプローチ的には床に置いたキャンバスに絵の具を垂らして描いたジャクソン・ポロックのポアリングの類にも思える。こういった手法には偶然性という要素も関わって来ると思うがその偶然の中に美を見出す瞬間を作品化できる作家の感性がとても重要だと思う。独自の表現を貫く作家は今後も活動がますます楽しみである。

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油絵の具で作った「皮膜」を画面に貼り付けて作品は作られる。

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平面的な作品ではあるが不思議な奥行きが見ていると感じられる。

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白と赤のバランスが美しい作品だ。偶然性の美とも思える。

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自然界の何かを示唆させるようなシェープだ。結晶の様でもある。

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思わず近づいて横からも観察したくなる気持ちがよくわかる。