記憶と歴史
途方も無い作業
天王洲アイルにあるSCAI PARKにて9月1日まで平野薫の展覧会が開催されている。ドレスやスニーカーなど生地を使って作られたモノの生地部分を糸にほぐし戻すという途方も無い作業で制作される作品は圧巻だ。数年前にSCAI THE BATHHOUSEギャラリーで初めてこの作家の作品を見た時にそれがそのような途方も無い作業の末に出来上がったのだとはにわかに信じ難かった。糸の状態までに生地をほぐされたドレスなどは数メートルもの長さになり天井から吊るされるがそれでもフロアーに裾の部分の糸が広がる。一見すると優雅な姿でもあるが一方でこれはモノという概念を解きほぐすようなコンセプチャルな挑戦だとも言える。ほぐした糸を丸めてボール状にしたりもするのだがとにかくどれだけの時間をかけてこうした作品は生まれるのか見当もつかない。今回、箱根のポーラ美術館アトリウムギャラリーでも平野薫の展覧会「記憶と歴史」が9月24日までの予定で開催されているので週末などに是非見に行こうと思っている。
生地の部分は細い糸の状態にまでほぐされてドレスは新たな姿になる。
ほぐされた糸がフワフワとしている。途方も無い作業だ。
生地の部分をほぐされたスニーカーは新たな何かになる。
糸状になるまでほぐされてしまったスニーカーの姿は斬新だ。
下着などをきれいに糸状にほぐしてそれを丸めて球体を作る。