おしずかに、光有故
8月25日から10月6日まで天王洲アイルのTERRADA Art ComplexにあるKOUSAKU KANECHIKAギャラリーにて安野谷昌穂の個展「おしずかに、光有故」が開催されている。1991年生まれというまだ若い作家は京都精華大学でデザインを学んだ後にオランダのヘリット・リートフェルト・アカデミーでファインアートを学んだという。作家は世界に出なければいけないとは言わないができれば多様な表現や感性がある海外という環境で作家としての表現力を磨けたならばよりインターナショナルな作家へと成長できるのではないかと思う。そういう思いも抱きつつこの作家の作品を見渡すと様々な作品や作家の影響を受けながらも自分の感性を探り出すように描く表現力に確固たる個性を感じた。パネルに和紙を張ったコラージュやドローイングには作家が感じた独自の感覚や直感、衝動や疑問などの様々な要因が作品として吐き出されているような面白さがある。インスピレーションの赴くままに描くような作品はまず「描きたい確固たる思い」がないと破綻するか支離滅裂になって作品の源泉にあるはずの作家の意図が伝わらなくなるがこの作家はしっかりとした思いを持って描いているのが見て取れた。
パネルに和紙を張ったコラージュ作品。青色が美しい。
ドロドロしたようなモチーフが彷徨う作品だがパステル調の色がいい。
ギャラリー内には作品の他に壁面にも絵が描かれていた。
赴くままに描くというのは実はそう簡単ではなく難しい。
ドローイングは作家の感性の中での必然性が現れるので繊細だ。
力強く、とても面白い人物を描いたドローイングだと思う。