さかのような人
石と戦う姿
駒込にあるKAYOKOYUKIギャラリーにて7月7日から8月5日まで大野綾子の展覧会「さかのような人」が開催されている。石や大理石、木材、木のパネルなどを加工して不思議な感覚のインスタレーションやオブジェを作る作家である。石を人の形のように加工し磨き上げて作ったオブジェはさりげなくネジ一つで壁面に設置されていたり大理石をまるで柔軟な素材を曲げたように人の形に仕上げその上や周りに削り出した木材や面白い形に切り取った木の板などを組み合わせ軽々とした印象のインスタレーションを作り上げたり。重い石の作品だということを忘れさせるようなライトでポップなインスタレーションは素材と表現のズレを独自の世界観にしているようにも見える。本来石は固くそして重いのだがそんな感じは作品から感じられない。しかし、作家の制作風景のビデオを見るとそこには石の加工現場でマスクをした完全防備の作家が大きな鉄の金槌で必死に石と戦う姿が映し出されているのだ。なぜ困難な素材でさらりとしたポップな作品を作ろうと思ったのか、そこがとても面白いと感じた。
石を削り滑らかに磨き上げた人の形のオブジェ。ポップで可愛い。
ちょっと乱暴にむき出しのネジ一つで壁に設置された石のオブジェ。
面白い形のオブジェは素材と作品の雰囲気に不思議なズレがある。
大理石や木材、木のパネルなどを使ったインスタレーション。
コラージュのような簡単な下絵から作品は生まれるのだという。