見えない距離を測る

デジタルとリアルの距離

山本現代ギャラリーにて6月9日から714日まで今津景の個展「Measuring Invisible Distance」が開催されている。展覧会タイトル「Measuring Invisible Distance」は「見えない距離を測る」であるが今回の作品の制作テーマがそこにあるのだろう。この作家の絵画では表現力の圧倒的な迫力とねじ曲がって混在しあったイメージの不可解さが見事に作品化されている。作家はパソコンのフォトショップで加工して作ったイメージを絵画に置き換えて描いているというがなるほどそう聞くとこの独特の世界に納得ができた。しかしながらパソコン上で指ツールの操作によって作られた虚構のイメージをキャンバス上に筆と絵の具を持って物質として再表現するという行為は興味深く作家自身もその作業工程で生じるズレを手探りながらどう定着させるか試行錯誤しながら絵画作品として仕上げているようだ。デジタルの時代にリアルであるキャンバスと絵の具を使った絵画作品をいかにして制作していくのかという距離感を図っているのかもしれない。

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ねじ曲がったイメージや断片が混沌と混在する独自の世界。

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デジタルで作られたイメージ世界がリアルに置き換えられ生じるズレ。

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圧倒的な迫力で迫ってくるような絵画作品だと思う。

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毎回大きな作品が多いが今回も大作が展示されていた。

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非常に卓越した絵画のテクニックが表現を可能にする。

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様々な歴史や時代のものからのイメージの引用が多い。