「理科の窓」

女性作家のグループ展

先月に渋谷のヒカリエで購入させていただいた作品作家が所属するギャラリーを見に行くために大塚駅にほど近いKAYOKOYUKIギヤラリーを訪ねた。ちょうど開催されていたのはアドリアナ・ミノリーティ、イエン・ホ、大田黒衣美の3人の女性作家のグループ展だった。面白いと思ったのは3人の作家がそれぞれアルゼンチン、ニューヨーク、愛知県という異なった場所を拠点に活動していることだった。当然ながら場所が違えば3人の使う言語や育った文化も違うのだが「作品を通しての表現」という共通言語でギャラリースペースを満たしていた。展覧会のタイトルである「Science Window」も面白く、翻訳すると「理科の窓」となるこのタイトルは男性のズボンのファスナーが開いていることを指す「社会の窓」に対しての女性版として使われたものだという。また、「Science」という単語の起源として我々が知る「科学」ではなくラテン語の「知る」を引用し「なぜ?」と疑問を持ち続けて来た人類の歴史と今は科学の発展により多くの答えが見つかったようでいても我々はあい変わらず「なぜ?」という根源的な疑問を感じ続けていることが展覧会のタイトルの背景にあるのだという。男性で言う「社会の窓」の女性版「理科の窓」の状態とは社会に向けて閉めているはずの「窓」が偶然にも開いたままになっているのかまたは意図的に開けているのかというのはさておき、作家たちはあえて「窓」を開けた状態で私的な思考や感情などを社会にさらけ出すことによってそれぞれの表現を模索しているのではないだろうか。

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アルゼンチンの作家、アドリアナ・ミノリーティの作品。

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ジェンダーに関する固定観念への挑戦としての幾何学人間?

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イエン・ホの立体作品は祭壇のような形で壁面に備え付けられる。

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イエン・ホは日常的に身近にあるものを作品にするという。

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大田黒衣美はガムやうずらの卵の殻などを使って作品を作る。

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モザイクのようにうずらの卵の殻が作品として再構築される。