恋夢 愛無

荒木経惟個展

六本木のタカ・イシイギャラリーにてアラーキこと荒木経惟の個展が6月23日まで開催されている。初日のレセプションに行ったがものすごい人でギャラリー内の撮影は断念し後日に再び写真を撮りに訪れた。初日には荒木経惟ご本人も在廊していたが70歳を超えた今もパワフルで声も大きい。荒木経惟は70年代から作家として活動し続けているが撮影において被写体と距離感を極めて近くもち私的ともいえる関係を切実に切り取ったような表現で知られる。「私小説」になぞらえ自身の写真を「私写真」と呼び「私写真(私小説)こそが写真である」と宣言して以来、荒木経惟の作品の全てにその精神は通底している。生と死という普遍的なテーマを撮り続けるが愛する妻の死や自身の病、老いていく中で自らの死を覚悟する近年だったが2017年に開催された大回顧展での自らの写真に「死から生に向かう」ように励まされたそうで今日も精力的に制作を続けている。今回の展覧会には99点の白黒写真が展示されているが全ては中判モノクロームフィルムで撮影されている。「究極の写真はモノクローム」と断言する作家が見せる生と死の姿を是非ご覧いただきたい。

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毎回お約束の作家自身が墨で描く展覧会タイトル。

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6X7フィルムで撮影されたモノクローム写真が壁に貼られる。

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朽ち果てる、死に向かうというのも重要なテーマだ。

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普通の街並みの中にも荒木の世界を切り取って見せる。

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私写真宣言をした作家は被写体と密接に関わり撮影する。