広げられた自空

「もの派」の作家

六本木の小山登美夫ギャラリーにて5月25日から6月30日まで「もの派」の作家、菅木志雄の個展「広げられた自空」が開催されている。1960年代から70年代におきた芸術運動の「もの派」というムーブメントの主要メンバーであり70歳を超えた現在も精力的に制作活動をする菅木志雄だが1972年の最初の国際展への出展では主客二元論が主流の欧州において「これはアートではない」とまで言われた。しかし近年「もの派」への再評価によってアーティストとしての確固たる地位を築いた菅木志雄の活躍は目覚ましく世界中で展覧会を熱望される作家となったのだ。インド哲学や東洋的な思想に共鳴した独自の哲学によって石や木、金属といった「もの」同士と空間や人との関係性に対して様々なアプローチを仕掛けながら「もの」の持つ存在の意義を顕在化するような制作活動を続ける菅木志雄にとって新たな表現への情熱は尽きることがないのだと思われるが今回の展示も新作を含み素晴らしいので是非ギャラリーに足を運んでいただきたい。

f:id:hynm_ryota_tanabe:20180525192309j:plain

空間にある「もの」が互いに絶妙なバランスで共鳴し合う。

f:id:hynm_ryota_tanabe:20180525192355j:plain

キャンバスのような四角い木の枠に木材が配置されている。

f:id:hynm_ryota_tanabe:20180525192442j:plain

木の枠に重なる木材などの配置が面白いリズムを生む。

f:id:hynm_ryota_tanabe:20180525192521j:plain

「もの」の存在感、在りようが見事なまでに表現される。

f:id:hynm_ryota_tanabe:20180525192621j:plain

石を並べる作品も数多く非常に哲学的な世界観を感じる。

f:id:hynm_ryota_tanabe:20180525192707j:plain

70歳を超えても制作活動への情熱は盛んだ。

f:id:hynm_ryota_tanabe:20180525192736j:plain

規則的に壁面に配された木とそれを囲む空間の関係性。