不確かな現実
イメージが消失する
5月26日まで天王洲アイルにあるYuka Tsuruno Galleryにて大崎のぶゆきによる個展「マルチプル ライティング」が開催されている。不確かな現実をテーマに「イメージが消失する」という曖昧で流動的な時間や記憶のあり方を表現した作品は記憶の断片のようでもあるし未来の景色を千里眼で見ているような感じもする不思議な作品だ。
独自の手法
作家はこの表現を可能にするために独自の素材や制作方法を開発しながら「イメージが消失する」現象を作品化しているという。未来に起こることや過去のことなどを現実として受け取る感覚について考えながら記憶、時間などについて深く考察しつつ曖昧さや懐かしさのような感覚を誘う作品を展開する。また作家はマサチューセッツ工科大学のブラッド・スコウ博士の「過去や現在、未来は同時に存在しており、スポットライトが照らすように現在がその空間を移動してゆく」という「相対論的スポットライト理論」からインスプレーションを受けているという。我々が普段気にせず生きているこの時間と現実について改めて考えさせてくれるような作品である。
イメージは記憶の底にあるのか、または未来の景色なのか?
作品とともに鏡を使ったインスタレーションも面白い。
イメージが消失した作品が沢山額に入れて展示されている。
流動的で消えそうなイメージはどこか懐かしいような感覚もある。