温室
「肉体」というテーマ
天王洲アイルのTERRADA Art Complex3階にある児玉画廊で6月2日まで大久保薫の個展「温室」が開催中だ。「肉体」というテーマを絵画で表現してきたという作家は身近な存在である肉体を描くにあたってそれを身近な存在ゆえにただ描くだけでは許されないという姿勢で制作に挑んできたという。そのために作家は棒の先に筆をつけて描いてみたり無数のスケッチを事前にするなど様々な試行錯誤を繰り返す。それは肉体そのものを意識しすぎないようにする試みでありまた一定の距離を保って肉体を対称化することができるかという試みでもあるという。一見するとフェティッシュのような露骨な裸体だったり奇抜なシチュエーションの中の肉体だが妄想や偏執によってではなく観察するような乾いた視線で描かれているのが特徴なのだ。何れにせよ、この若手作家の絵には色彩やマチエール、画面構成など並々ならぬ才能を感じたので今後もさらに楽しみであるし絵画が好きなのでこのように大胆で骨太な絵画を描く若い作家が出てきたのはとても嬉しい。
肉体との距離感を意識しながら絵画へと落とし込んでゆく。
沢山のスケッチや下絵を繰り返してから絵画制作に入るという。
なんとも不思議な感じのシチュエーションだが妄想ではない。
画面のマチエールが非常に面白く仕上がりの画面は複雑だ。
がっしりとした筆さばきと厚塗りの絵は非常に力強い。
色彩感覚にも斬新さと独特な世界観を感じる。
荒々しいタッチだがよく見ると繊細な観察力を感じる気がする。
ギャラリーでの展示風景。将来的に楽しみな作家だ。