テーマは「平成」

写真の変化

恵比寿にある東京都写真美術館にて9月18日まで展覧会「コミュニケーションと孤独」が開催中だ。TOPコレクションは毎年1つのテーマで東京都写真美術館の34000点を超えるコレクションから作品をキュレーションして紹介しているが今年のテーマは「平成」である。メールやインターネットの普及、肖像権の侵害、個人情報保護など「平成」の時代になってから我々の周りを取り囲む環境は著しく変化を続けている。そんな時代背景の中で写真という表現手段も変化を迫られる中、「これからの時代の写真表現とは何か?」を探る展覧会となっている。

 

被写体との関係

写真という表現は作家と撮られる被写体との関係性の中で生まれるが関係性とは何らかのコミュニケーションだったり関わりということになる。昔のような単純な関係性だけの時代からあらゆる情報交換の手段が進化し続ける現代になって作家たちは何を撮影し、表現しようとしているのか、そして作家と被写体、作家と鑑賞者の関係性にはどういった変化が起きているのか。情報が錯綜し混沌とすればするほどコミュニケーションのあり方は無限に広がりその中で人は孤独を感じているのではないのか。現代が抱える新たな局面はすでにアート全体に大きな影響を与えていると思うがそんな今だからこそ興味深いテーマだと思う。同館では9月24日まで荒木経惟の展覧会「センチメンタルな旅1971-2017」も開催中なので合わせて是非ご覧いただきたい。

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同じ人や違う人を同じような服装で撮り続ける北島敬三の作品。

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同じ人を違った服装で定点観測的に撮ることで見えてくるもの。

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中村ハルコはイタリアのトスカーナの風景や人を撮り続ける。

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トスカーナの光に包まれた中庭のテーブルは美しい。

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林ナツミはまるで浮遊しているかのようなセルフポートレートを撮る。

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駅の改札など普段の生活で見慣れた景色の中を浮遊する姿。