夏のない年

アメリカで活動

8月5日まで外苑前のMAHO KUBOTAギャラリーにて播磨みどりさんの個展「Year without a Summer」が開催されている。「Year without a Summer」とは1816年に実際に起こった「夏のない年」のことだそうだ。播磨さんはアメリカに渡って作家活動をしているそうで今後の活動も楽しみだ。平面作品、立体作品、立体作品を撮影してエディションプリントした写真作品がある。平面の作品には普段は捨てられそうなパッケージやゴミのような紙切れ、布切れ、箱など様々な身の回りのものがコラージュ的に使われる。ものの溢れる社会においてすぐに消費され捨て去られるものを作家なりの感性で作品に変身させるのである。

 

コピーで作品作り

もう一方で興味深いのは立体作品の多くで、これは実際の洋服やバッグ、スニーカーなどをコピーして作られる。白黒コピーされたそれらのイメージは鮮明ではなくかすれ気味で時間とともに風化した「何か」のような独特の風合いを持っている。そのコピーした平面を立体に作り上げなおすというのがこれらの立体作品でスニーカーやバッグはもちろん、等身大の親子や男の子の像まで作り上げているのが驚きだ。アメリカで磨かれた感性がこの消費社会に対する痛烈なメッセージを含む作品を見事に力強く美しい作品にしているのが素晴らしいと思った。

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白黒コピーされた洋服を再構築して実物大の立体作品にしている。

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写真の前に垂れ下げられた切り刻まれた後の紙くず。

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値段がついた袋やゴミのような切れ端のコラージュ。

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スニーカーの形に立体作品化された白黒コピーの紙。

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アナと雪の女王のバッグはかすれて色が抜けたように見える。