光り輝くガラス
30歳を過ぎてから作家に
4月1日まで六本木のcomplex665にあるShugoArtsにて川嶋りつ惠さんの個展「星々」が開催中だ。粘性の高いベネチアガラスによって様々な作品を生み出す作家は最初からガラス作家を志していたのではないそうだ。たまたま移住したベニスで30歳を過ぎてから人生のある転機を迎えヴェネチアン・グラスに作家としての人生を生きる道を見出したのだという。
光を受ける放つ
そんな人生の思わぬ展開はこの作家の類い希な才能をガラス作品作りへと導いたのだが、今では現代ヴェネチアン・グラスの代表的なアーティストとして日本のみならず世界的な名声を確立させている。今回の展覧会タイトルである「星々」はふと浮かんだのだそうだが、宇宙の中の人々、今を生きる我々、その愛おしいひとつひとつ、我々に秘められた透明なひかり、生の輝きといった思いがここには込められている。ガラスという繊細かつダイナミックな素材はひかりを受け、そしてひかりを放つ。宇宙の星もまた同じく、ひかりを受けては放つ存在だが全てがシンクロするような壮大な連帯感が感じられる。静寂の中で様々な角度から見るとガラスの奥に自分も映り込むし、きっと様々なひかりに出会えるはずだ。
展示台の下からの照明によって浮かび上がるように光るガラス作品。
粘性の高いヴェネチアガラスの特性を生かしたフォルムが美しい。
シルバーをが練り込まれたガラスの連なる繊細なタワー。
ガラスとシルバーの反射に回りの景色が不思議に写りこんでいる。
色々な組み合わせのガラス作品は木の台座に備え付けられている。