神話の世界からイメージの贈り物
幼い頃からの記憶が語り出すイメージ。
北参道の小山登美夫ギャラリーで7月末から開催されている風能奈々展を遂に見に行くことが出来た。
風能奈々「線でつなぐ遊びと名前をつけること」では彼女の作品に欠かせないイメージ達が登場する。幼少期から彼女が惹かれてきたイメージというそれらは神話や物語の世界に属するような動物や様々なもの達である。
イメージを独自の手法でキャンバスに封印する。
こうしたイメージ達はそれだけでも見るものに不思議な感覚を与えるのだが彼女の作品はそれだけに留まらない。それらのイメージは実に豊かな質感を持った重ね塗りでキャンバスに定着されるのだ。
点描画のように幾重にも重ねられた繊細で奥行きのある作品はイメージをその奥深くに封印する。
見るほどに奥深くしかし重苦しくない作品。
彼女にとってこれらのイメージを描くというのは画面に深く定着させるという行為のように思う。
クリアジェッソやメディウムを塗り重ねることによる光沢感や奥行きは独特の視覚効果を生むのだ。
今回は以前の「自分の世界に閉じこもる」ための作品から自身を客観的に見つめることを意識したというが、こうした意識の変化も作品に新たな展開を与えたに違いない。
瞑想のように緻密な作品を作り続ける彼女の今後の更なる変化にも注目したい。
http://tomiokoyamagallery.com/
招待状にも使われた作品イメージ。表面の質感が独特だ。
作家の心の原風景に登場する動物達?なのだろうか。
暗い背景にイメージがありその上にまた白い線のイメージが重なる。
銀色に淡い緑色が合わさり鉱物のような感じを作り出す。