旅行程、ノン?

コンセプチュアルなテーマ

六本木のギャラリーコンムレックスにある小山登美夫ギャラリーにて2月9日まで落合多武の個展「旅行程、ノン?」が開催されている。小山登美夫ギャラリーでは7年ぶり6度目のこの個展では新作のペインティングを展示している。落合多武はドローイング、ペインティング、立体、映像、パフォーマンス、本の制作、詩や文章の執筆など様々な表現方法を持つ作家である。今回は1年の12の月をペインティングにした12点の大きな作品を制作しているが描かれるのは多様な表現手段を持つ作家らしく絵画的な観点から描かれたというよりももっとコンセプチュアルなテーマを元に描かれているように思える。世界中の都市の名前とその都市のその月の休日、祝日が文字で描かれたペインティングは色や線の面白さ、構図の面白さなど絵画として成立しているのはもちろんだが起源には民族的な問題や宗教、戦争、人種問題など様々な世界の状況を連想させるというコンセプトも持ち合わせる。コンセプチュアルな点でユニークな着眼点と表現方法だが絵画作品としてもきちんと成立させているところが素晴らしいバランスとセンスだと感じた。

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色や文字の線の面白さなどコンセプトを見事な絵画作品にしている。

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青い色が鮮烈に感じられる中に文字や色調の変化が加わる。

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淡い色合いを塗った中に文字や目がある。目は移民を監視する目だ。

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コンセプトもさながら絵画作品としてすごくセンスがいいと思う。

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ギャラリー風景。絵の大きさは微妙に違うが全て大作である。