こわれもの

5年ぶりの個展

外苑前のMAHO KUBOTA GALLERYにて小笠原美環の作品展「こわれもの」が10月20日まで開催されている。ドイツに暮らす作家にとって5年ぶりの日本での展覧会だというが作風にはゲルハルト・リヒター、リュック・タイマンス、ピーター・ドイグといったドイツをはじめとするヨーロッパの現代絵画の巨匠からの影響が見て取れるような気がした。思春期をカリフォルニアで過ごし18歳でドイツに移り住みハンブルグ芸術大学で学んだというバックグラウンドは作家の日本人としての感受性にどこかヨーロッパ的な視線を植えつけたのかもしれない。作品はグレーを基調にした油彩画で風景や人物、光の揺らぎなど様々なシーンが描かれているがどのシーンもどこか映画の中のワンシーンのような物語を連想させる。見るものを独特の絵画世界に引き込む不思議な魅力に溢れた作品は対象を見つめる作家の内面を自ら冷静に観察しながら描かれているようなクールな感じがした。

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壁と床に当たる光の揺らめきが見事に描かれている。

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何をしているのか想像させるような艶かしい女性の足の絵である。

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くらいヨーロッパの森に降り始めたのは雪か、雨か、みぞれか。

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草むらから突き出た小枝にとまる小鳥たち。動き出しそうだ。

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部屋の中のどこかを描いた作品だと思うが静寂の中にある。

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シンプルな男性の後ろ姿にも独特の雰囲気を感じずにはいられない。