「スミレ」

白と黒の陰影

六本木のタカ・イシイギャラリー東京にて9月7日から10月6日までシルケ・オットー・ナップの3回目の個展が開催されている。「スミレ」と題された展覧会はクルト・シュビッターズが1931年にハノーヴァーで出版した詩誌名からとったものだという。白と黒の陰影が醸し出す独特の世界がなんとも魅力的な絵だがロサンゼルスに拠点を置く作家は水彩画を重ね塗りしてまた拭き取るなどの繰り返しの作業でこの独特な表現を可能にしているそうだ。風景画を始め舞台美術、パフォーマンスなどに関する歴史的な資料を基に絵画制作をしてきたという作家の作品は絵画の持つ「もの」としての存在感でも見応えがある。

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いくつものパネルをつなげて完成した舞台美術を思わせる大作。

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複数の人物が集合している絵もよく扱うモチーフである。

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水彩で描かれる絵の黒い部分は漆黒で白い部分は拭き取られたようだ。

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花と人物のイメージが重なり面白いリズムを奏でる。