「life」

絵画か立体か

市ヶ谷にあるMIZUMA ART GALLERYにて宮永愛子の展覧会「life」が6月20日から7月21日まで開催されている。ギャラリー内には大小の透明な額縁が絶妙に配置されて浮かんでいる。絵画か立体か?作品は謎めいた雰囲気を漂わせ佇みながら見るものと静かに向き合っているようだ。よく見ると透き通った額の中には無数の気泡があるがひとつ一つの気泡は作家自身の記憶を閉じ込めたのか、または見るものもその気泡に自身の記憶を重ね合わせられるのか。イーゼルに掲げられた透き通った額縁も見ているとその透明の中に封じられた気泡の先にどこか懐かしいような静寂に包まれたような気持ちが現れるような気がした。奥の小展示室に展示されている「はじまりの景色」と題された写真の作品にも同様に懐かしいようないつしかの遠い記憶が焼き付けられているようだ。我々は作品を見るのではなく作品を通して世界を見渡しているという視点。我々の周りにある世界や宇宙、命といった神秘の全てがこのシンプルにして力強い作品群を通じて放たれている気がした。

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無数の気泡を含んだ透明の額縁がギャラリー内に浮かぶ。

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古いカバンの中には透明な双眼鏡に小さな猫のオブジェが。

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イーゼルにかけられた透明の額縁。無数の気泡の中に何を見るか。

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闇の中に浮かぶ透き通った額縁と本。置かれた配置も絶妙だ。

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「はじまりの景色」と題された写真作品には遠い記憶が込められている。