「今と古ゝに」

5年半ぶりの個展

5月9日から6月9日までMIZUMA ART GALLERYにて山口藍の個展「今と古ゝに」が開催されている。近年は海外での作品発表が続いたそうで実に5年半ぶりの新作展となっている。「とうげのお茶や」で暮らす遊女たちの姿を通して独特な感性の作品を様々な方法で作り上げた展覧会は見応えがある。漫画チックに描かれる女性の姿は美しくてどこか切ない感じもするが古風なようでいて実に現代的な雰囲気もするのは不思議な世界観である。書や和歌、着物や紋様などの日本文化に対して作家独自の解釈を加えた模写は創造的で面白い。今回の作品は作家のトレードマーク的な「ふとんキャンバス」にだけではなく和紙や板、貝殻、陶版などの素材に描き出されそれらがギャラリー内に工夫を凝らして配される様も色とりどりといった感じで素晴らしかった。日本の美意識を独自の表現で現代に再提示する稀有な作家として今後の活動もさらに楽しみである。

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面白い形の木材に描かれた美しい女性像。妖艶な感じがする。

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キセルを持った女性像。どこか中性的な魅力のある人物画だ。

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大きくて角の丸いキャンバスに描かれた不思議な雰囲気の女性達。

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装飾的な美しさと抽象的な美しさも感じられる絵である。

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文様や髪の毛が見事にパターン化された面白さが感じられる。

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この絵などはまさに抽象絵画のようである。色合いが美しい。

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女性作家にはどこか身体的な状態を描く作家が多いと思う。

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様々な素材に描き出された作品は見応えがあった。

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壁面に飾られた和紙の作品。周りには達筆な文字が。筆が立つ。