未知の霧の中へ
西洋と東洋の美意識
渋谷ヒカリエの小山登美夫ギャラリーにてロバート・クシュナー展「未知の霧の中へ」が4月30日まで開催している。1970年代のニューヨークで始まったパターン・アンド・デコレーション運動の代表的な作家として活動してきた作家の2010年以降の作品を集めた展覧会だ。クシュナーはヨーロッパのテキスタイルやマティスに代表される野獣派の自由な線、そこに日本の琳派の影響なども受けながら西洋と東洋の美意識を重ねた作品を制作してきた。
詩的なコラージュ
古いヨーロッパの書物のページや郵便切手、19世紀の雑誌のページ、日本の文字の紙切れなどが詩的なコラージュのように組み合わされた画面とその上に大胆な線で描かれる花の組み合わせがダイナミックな作品である。確かに野獣派のような自由奔放で荒々しい線と琳派のような装飾性が混在する画面になっているが作品としての全体のバランスは見事に保たれているのだ。晩年期に入った作家の伸びやかな作風は見ていてストレートに心に訴えてくるものがあると感じた。
様々な書物のページの切り取りのコラージュの上にイメージが乗る。
花のイメージは伸びやかで大胆な線で描かれている。
西洋と東洋の美意識が混在する中に花が咲く感じだ。
19世紀の雑誌のページの上にダイナミックに描かれた花の絵。
様々な花の絵柄と背景の図柄が独自のバランスで融合する。
西洋では珍しい金箔を多く用いる作家には琳派の影響が見られる。