アジアから世界へ

4人のファイナリスト

寺田倉庫のサポートで開催されるASIAN ART AWARD 2018は2017年に創設され今回で2回目を迎える。選考会によって選出された4人のファイナリストの作品展が3月3日から18日までTERRADA ART COMPLEXの4階にて開催中だ。何れ劣らぬ素晴らしい作品の4人だが今回はその中から注目している女性アーティストのAKI INOMATAさんの作品を紹介したい。

 

「つくる」行為

AKI INOMATAさんの作品を最初に見たのはMAHO KUBOT GALLERYでのグループ展だったと思う。そこには透明の貝殻に入ったヤドカリの写真と小さな透明の貝殻が展示されていた。AKI INOMATAさんは「つくる」行為が人間だけのものではないことに着目して生物との共同作業のプロセスを作品にしてきたという。この作品ではヤドカリに宿である貝殻を提供することで生物との関わりから生まれる関係性を作品化している。また、透明な貝殻はよく見ると上に世界の小都市が堀上げられていて世界を貝殻の宿で移動するヤドカリを通してアイデンティティや移住などについても考えさせられる。根源的なコンセプト、面白い着想、繊細な作品のクオリティーなど実に見応えのある作品になっている。AKI INOMATAさんがファイナリストになるならないに関わらず要注目の作家さんだと思う。

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透明な貝殻の上に小さなパリが!繊細な仕事はいい作品に欠かせない。

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この貝殻の上にも細かいディテールでタイの寺院のような建物がある。

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これは中国の建物か?下にある貝殻の描写もとてもリアルだ。

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会場には水槽が設置されライブでヤドカリ観察ができる。

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こちらが透明な貝殻に入って生活するヤドカリである。