オマージュの絵画

カレンダーシリーズ

桑久保徹の新作展「A Calender for Painters Without Times Sense 1.3.4.5.7.8 」が小山登美夫ギャラリーにて2月17日まで開催されている。4年ぶりというこの個展で作家は尊敬する画家たちへのオマージュとして彼らの作品と周辺を不思議な絵画空間に構築して見せた。過去の作家たちと今を生きる自分を照らし合わせそれぞれの作家をカレンダーの月に当てはめて描くというシリーズは今回6点までが完成し展示された。ペインティングの他にカレンダーとその作家のために作った音楽のレコードをセットにしたドローイングも展示されている。

 

スーラーは点描画

2014年にスタートさせたというこのプロジェクトはまず好きな作家のムンクから始めたがしっくりとこなかったのでアンソールを描いた。どの月にどの作家を当てはめるかは例えばセザンヌは空に風を感じるよう5月にしてゴッホは夏の夜の海を感じる8月に、スーラーは爽やかな初夏の7月、ピカソはカレンダーの顔となる1月にという具合に決めて行ったという。緻密に描きこまれた作品はとても細かくてよく見ると見たことのある名画たちが生き生きと描き切られている。描きながら作家の性格や心境のようなものがわかる気がしたというが、描いていて一番気持ちよかったというスーラーの絵は点描画で描かれていてまさにスーラーの世界で素晴らしかった。いつ全てのカレンダー絵画が完成するかにも興味が湧くところだがとりあえず今完成している6作品を是非見て欲しいと思う。

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点描画で有名なジョルジュ・スーラーの世界は爽やかな雰囲気。

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ドローイングにはカレンダーと作家のために作った音楽のレコードがつく。

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星空の下に広がるのはフィンセント・ファン・ゴッホの世界。

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作品の少ないヨハネス・フェルメールは全37作品すべてを描き込んだ。

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パブロ・ピカソは思い切ってゲルニカのような白黒の世界で描いた。

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ジェームズ・アンソールは絵を見た時に感じた鮮烈なピンクを描いた。