「Issues from the Hands」

 

唯一無二の存在感

渋谷ヒカリエにある小山登美夫ギャラリーにて8月7日まで野田敏明展「Issues from the Hands」が開催されている。野田敏明氏は日本で陶芸を学んだ後2008年に渡米、カリフォルニアでファインアート科を卒業してからはアメリカを拠点にセラミックアートの制作活動を続けているという。陶芸作品において何らかの既成概念というものがあるとしてたとえそれが何であれ野田敏明氏の陶芸は「型破りだ」と断言できるほどに唯一無二の存在感であり個性的だと思う。

 

変形と破壊

野田敏明氏の陶芸作品は初めは左右対称の整ったフォームで作られるのだそうだがそこから変形と破壊が施される。塗ったり潰したり、引き裂いたりなど様々な行程を経て新たな形へと生まれ変わるのだ。どの作品もそれぞれが独自の形と風合いと存在感で見るものに迫ってくるようだ。それは人の手によって作られたというよりも自然の中で生まれた地層や自然の作り出す風景、または捨てられ風化した人工物などをも想起させる。一つ一つが非常に重い「物」としての存在感を醸し出しながら存在しているのだった。

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歪められ変形された陶芸作品は重い存在感で迫り来る。

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鍾乳洞の中の何かみたいな趣が感じられどこか可愛らしくもある。

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人工的に作られた何かが風化して変化した姿のようである。

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ギャラリー内に沢山の陶芸作品が整然と並ぶがどれも個性的だ。

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白い肌にかすかな薄緑が見える、なんとなく愛嬌のある姿形である。