理想郷
若きペインター
8月12日まで白金にある児玉画廊にて大久保薫の個展「理想郷」が開催されている。聞けばまだ20代という若手作家だが僕がアートの中でも特に好きなペインティングを表現手法とする若きペインターである。彫刻や立体は自分で作ったことがないので分からないが絵は自分も描くので絵を見る時は特にそのテクニックなどを非常に興味深く見させてもらえるのである。
色のセンス
テクニックの前に彼の絵の主題だが男性の体をテーマとして様々な絵を描いている。
立ち小便する男性、裸の男性、酒のラベルの男性、ブルドーザーを操縦する男性などなど、様々なシチュエーションで男性が描かれる。それらを描くテクニックだが、油絵の具とアクリルを一緒に使ったっりして実に面白い質感の作品を作り出す。画面上を垂れ流れるほどの薄い絵の具で描いた上に部分的にかなり厚塗りで量と質感を感じるマチエールの力強い部分もあったりする。そしてそれら全てを統合するのが彼独自の色のセンスだ。以前から色のセンスは教えられるものではないと思うと言ってきたが彼にしてもそれは持って生まれた才能だと思う。色が冴えていなければまとまりのない絵になるであろうが実にうまく色の力で画面を引き締めている。若きペーンターの今後が楽しみだ。
上半身裸の二人の男性の絵はかなり薄塗りの作品。
どこかペルシャみたいな国の宮殿の中の風景を想わせる。
珍しく男性像ではなく動物の絵だが、ラクダなのだそうだ。
お酒のラベルの男性のイラストを絵にした作品。色が素晴らしい。
ブルドーザーを操る男性の絵だが堂々とした姿に見える。
草むらにて男性のヌードの絵である。厚塗りと薄塗りの共存。
なぜか下半身裸の男性が自転車を持って立っている不思議な光景。