次世代のアートに遭遇

イルカを産む女性

六本木のhiromiyoshiiギャラリーが最新のアートの表現を見せる場として開いたARTS&SCIENCE AXIOM。新しい表現形態、手法、考え方という様々な切り口のアート作品を意欲的に展示するこのギャラリーでまた斬新な作品展が開催中だ。

まずは2階にて開催中の長谷川愛による個展「Second Annunciation」第二受胎告知だが、海外では発表したもののその作品コンセプトが過激ゆえに日本ではなかなか発表出来なかったという作品だ。彼女はたとえば人工授精だったり遺伝子だったりという人の倫理的、道徳的な部分に焦点を当てる。ウーバーやエアービアンドビーなどシェアが社会的な現象の今、沢山の人のDNAで生むシェアードベイビーという考え方の作品、少子化の今、女性の産むという欲求を人以外で満たすというコンセプトのイルカを体内で育てるという作品など、過激過ぎて作品として成立するギリギリのところを作品化しているのだ。

SFCプロジェクト

一方、1階では慶応藤沢キャンパスの在校生と卒業した作家達のグループ展が開催されている。言葉をプログラミングによってその使われる頻度で優位関係を紐付けデジタル化し画面に表現した作品は不思議なアート作品となっている。プログラミングは表現になるのか?という新たな表現領域の拡張について考えさせられる作品としてはもう一つ1800年代から約100年間の人類の海の航海の往来データをプログラミングして可視化した作品もあったが、船が頻繁に通った海域が輝いていて奇麗だった。その他にも一見すると古いアナログな紙のプリント作品のように見えるアート作品が指で押すと体温で画面に色が復活するという作品などもあった。様々な可能性がアートの表現の限界を広げる中、このARTS&SCIENCE AXIOMから今後も眼が離せない。

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女性が海の中でイルカを産み落とした瞬間を作品化。

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イルカを身ごもった人間の医学的な立体モデルも精密に制作。

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壁にはイルカを産み落として共に泳ぐという映像も投影されている。

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文字のデータをプログラミングによってデジタルアートにする。

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指で押していると体温で色の鮮度が蘇り蝶が鮮やかな色になる。