生死が奏でる淡い世界

独特な手法が味わいを生む

渋谷ヒカリエの8/ART GALLERY/TOMIO KOYAMAにて2月6日まで染谷悠子展が開催中だ。4年振りの個展だそうだが壁面いっぱいの大作など大きな作品が多い見応えある展覧会となっている。彼女の作品の魅力は一見すると淡い印象の画面の細部に広がる豊かな表現世界だと思う。和紙を使って独特の味わいを生んだり鉛筆やカラー絵の具、また墨を使ったぼかしの技法も織り交ぜて驚くほどに細かくて大胆な世界を作り上げるのだ。

 

モチーフは生と死

生き物がそんなに奇麗に思えない瞬間があったという作家は蜘蛛の糸やそれにかかった蝶、草花や小動物などをモチーフにしつつ生きているのに奇麗でなく死んでいるのにぞくっとするくらい美しいというような生に対する矛盾を内包する不思議な美しさを描いているのだと感じる。生きるもの全てが逃れられない死という不可解な世界をイメージと色彩によって淡く儚く奏でる彼女の作品を是非ギャラリーでご覧頂きたい。

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草花は生きているのか枯れているのか淡く漂う。

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かすかに色彩が残った世界にはウサギが戯れている。

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壁面全体を埋め尽くす大作もあってかなりの見応えである。

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美しく露で輝く蜘蛛の糸とそこに囚われた蝶が儚い。

www.hikarie8.com