抽象絵画の楽しみ方
ストレートな抽象絵画
来年の2月4日まで六本木の小山登美夫ギャラリーにてヴァルダ・カイヴァーノ展が開催されている。見事なまでのストレートな抽象絵画の展覧会であるが、もともと絵が好きで、抽象画が好きな自分としては興味深い展覧会だった。線や色、形、といった要素が画面の中に抽象的に配置されるこれらの絵はいったい何が描かれているのか?といった問いに答えるためではなく描かれているままを見て感じるだけのために描かれたようだ。だが、敢えて何かといえばカイヴァーノの絵は自然や風景などを想起させると思う。
余白にも味わいがある
画布に何かを捉えようとする作家の筆は色や形や線で画面を作り上げつつ余白も残して絵が未だに完成していないような余韻を残しているのが印象的だ。その絵は見るものに様々な想像をさせるし無限の可能性を感じさせるようでさえある。色や形や線が交わったり離れたり、互いの境界を越えて連続したり軽快に動きを表現したり。この作家の絵は簡単に描けるようで実はなかなか描けない抽象画のように思えてとても魅力を感じた。何であるかなど考えずその抽象世界に身を委ねた時、自分にどんな感情が沸き上がるのかを感じ取ることこそがこれらの絵を見て楽しむ方法のような気がした。
これは自然のパターンなのか風景なのか、見る人によって感じ方は様々だ。
色が好き、線の感じが好きといったシンプルな思いで見るので十分だと思う。
まるで未完の作品のような余白を画面のいたるところに残した作品である。
青い色とその下に横たわる淡いピンクの色、その上の黒い線が不思議なハーモニーだ。