奈良美智さんの30年

精神性を共有

今世紀に入ってから活躍する日本人アーティストの村上隆さんと奈良美智さん、今や二人はアーティストとしてアジアはもちろん世界中で不動の人気を得ている。その村上隆さん自身が運営するカイカイキキギャラリーで奈良美智さんをレプレゼントすることになったという。ともに躍進してきた同士として表現は異なるにせよ作家としての精神性を共有していると感じる二人の作家がこういう形で繋がるというのはアート界にとってニュースである。カイカイキキギャラリーでは3月8日まで最初のギャラリー企画展として奈良美智さんの過去30年に渡るドローイング展を開催している。今後は年内にもう1回奈良美智さんの企画展を開催するほか香港アートバーゼルでも特設ブースで奈良美智さんの作品を展示するという。

 

ドローイングとは

アートに関心がある人はもちろんだが関心がそんなにない人も奈良美智さんの作品を好きという人は多いと思う。その証拠にカイカイキキギャラリーは平日の昼間にもかかわらず大勢の人で異常に賑わっていた。奈良さんにとってドローイングとは一体どういう行為なのかという原点を振り返る展示は圧巻でギャラリー内には年代ごとにグループ分けされた様々なドローイングが壁面やテーブルの上に展示されている。奈良美智さんの表現の源であるドローイングを年代を追って見ることはその作品の魅力の謎を紐解く鍵であるような気がする。子供の頃から鉛筆1本で描くことが好きで鉛筆1本でなんでも描けていた気がすると語る奈良美智さんだが自分の中から湧き上がる思いや感情をストレートに描き出すという行為で作品を作ってきたその稀有な才能を存分に感じることができた。村上隆さんと奈良美智さんの今後の新たな展開もますます楽しみだがまずは強力にオススメの展覧会です。

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ダンボールに描かれた少女。作品には繰り返し少女が現れる。

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鉛筆だけで描かれたドローイング作品は強いインパクトがある。

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これも鉛筆だけで描かれた作品。ストレートな表現が魅力的だ。

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コミカルな表情が愛らしい少女たちが沢山描かれてきた。

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作品はダンボールや封筒など様々な素材に描かれる。

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平日にもかかわらず沢山の人が展覧会を見にきていた。