ジェフ・クーンズ
話題作りの達人
アートバーゼルマイアミからの画像はまだまだあるが、ここでジェフ・クーンズというアーティストに関して少し話したい。ジェフ・クーンズといえば美術評論家達の評価は真っ二つに割れることでも有名で良くも悪くも賛否両論の話題に事欠かない作家だ。美術界の専門家の評価は別にして彼を好きか嫌いかでいえば僕にとってジェフ・クーンズは好きな作家だ。80年代ソノベント・ギャラリーでデビューした彼は様々な作品を作ってきたが元ポルノ女優でイタリア議員だったチョチョリーナと結婚して彼女とのヌードシーンの写真展を見た時は本当に度肝を抜かれた。セックスする二人の大きな写真が並ぶソノベント・ギャラリーのあの時の異様な雰囲気は今でも忘れられないが皆凍りついたような感じだった。アメリカンキッチュを表現する作家として有名なジェフ・クーンズだが彼にとってアートとは作品そのものでもあるけど、その制作プロセスやそれがコレクターにコレクションされたり著名な美術館で展示されるところまで含んで考え抜かれた「現代アート」という一つの一大イベントのようなものなのかもしれない。近年は大きなバルーンドッグがクリスティーズで60億で競り落とされたあたりからかなり有名な作家となり生きている作家としては最も高額な値段の作品を作る一人となった。今回のアートバーゼルマイアミではジェフ・クーンズが最近ルイ・ヴィトンでも展開しているMASTERSコレクションの絵が沢山売られていた。ゲイジング・ボール・シリーズというこの一連の絵画はモナリザに始まりピカソやゴホ、マネ、ブーシェ、ドラクロワ、ターナー、ゴーギャンなどの過去のマスターピースの前に青い球体を取り付けたオブジェ作品になっているが絵画自体もそっくりの複製画を描いているという緻密さはジェフ・クーンズならではである。巨大なスタジオで100人以上のアシスタントに指示を出し話題性の強い衝撃的なアートを生み続ける彼にとってはもしかしたら世間がざわついたり評論家の酷評を浴びることこそが最も嬉しい評価なのかもしれない。いずれにせよ僕はダミアン・ハーストといいこのジェフ・クーンズといいもの凄いスケールでバカをやり続けるアーティストと同じ時代に生きて目撃できるのは画期的なことだと思っている。
MASTERSコレクションのゲイジングボールバージョン。他にも
アートバーゼルマイアミにはプリント板の作品も沢山あった。
プリントはボールではなく丸いミラーが絵にはまったシリーズ。
ここからはそれらの画像を一挙にお見せします!