時間と相対するということ

市村しげの展には彼の代表作や新作が展示されている。

東急BUNKAMURAギャラリーで8月4日から14日まで友人の市村しげのが展覧会をするのでレセプションにお邪魔した。市村しげの展「Time and Relativity-時間と相対」では彼の代表作であるドット(点)を沢山描き込んだ作品や新作も展示されている。僕が彼と知り合ったのはかれこれ25年くらい前のニューヨークだ。当時のニューヨークはまだ今のように安全な街ではなくクラブカルチャーもまだ残っていたと思う。アートシーンもキースヘリングやバスキアなんかがスターになった直後でアメリカのアート界がまだまだ輝いていた時代だったと記憶している。

 

アートコンテストに入賞し作家となる。

1997年、市村しげのは当時人気のアーティストだったスターンツインズが選考委員をするテキサスのアートコンペで入賞しアーティストとしてのキャリアをスタートさせた。その時に描いた作品は銀一色の絵画だが、それは絵というよりも幾何学模様のような不思議な作品だった。数えきれないほどのドット(点)を丹念に描き続けることによって生み出されるその作品はちょっと見たことのないインパクトを見るものに与える。そして彼は作風をずっと続けてきているのだが、まるで修行か試練かというほど大変そうな制作を要する作品には感嘆する。

 

時間と相対するということ

一つづつのドット(点)は意味をなさないがそれが数えきれないほど沢山描かれ幾何学的な模様に配列されるとそこに悟りの境地のような美しい静寂の世界が現れる。彼の作品にはそんな宇宙的なパワーがあるように思うが、それにしてもこの作風を貫き通すというのは相当な根性というか執念が必要だと思う。制作には時間だってかかるだろうし間違った配列や大きさのドット(点)を描いたらすべて台無しになってしまうような繊細な作品には神経も使うはずである。展覧会のタイトルの「Time and Relativity-時間と相対」にはそういう作品が生まれるために作家がキャンバスに相対さなければならない膨大な時間という意味が込められているように感じた。14日まで開催しているので興味のある方は是非ご覧ください!

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